this and that about artworks

プロディジーの歴代シングルジャケを並べると、― レアものなどなくても ― ちょっと嬉しくなったりはしないだろうか。
海外ファンサイトではファンによる「新作アルバムアートワークってこんな感じ」選手権が行われてしまうほど、プロディジーの作品のジャケットは印象的で楽しみなものである。

初期のシングルジャケはカラフルでポップ。アルバムジャケはやや地味ではあるが中身がなかなか面白い。ファーストアルバム"EXPERIENCE"は「やっぱりリアムってゲームオタクか?」と匂わせるイラスト(別にリアムが描いたわけじゃないが実際なかなかアルバムが出ないのはリアムがプレステにはまっているからだ、というゴシップが出たり、皮肉った漫画が存在する)。

描いたのはAlex Garlandという人物。A.Garlandと言えば映画「ビーチ」の原作者だ。彼は今でこそ作家、脚本家としても有名だがフリーイラストレーター/ジャーナリストであったこともあるようでクラブカルチャーを題材にしたオムニバス小説"DISCOBISCIUTS"にも作品を寄せているし、作品を書く上でインスパイアされたものとしてプロディジーの名前をあげている。(また「ビーチ」映画化に際してマッシブアタックの3Dとリアムがサウンドトラック用に'No Souvenirs'という曲を共作したがサントラの他の曲がポップでオリエンタルすぎるしてキャンセル。さらに2003年頃はプロディジーのアルバムに収録される予定となっていた。替わりに、というか同時期に2人でやったのがポルノフィルムThe Uranus Experiment用の曲。)

セカンド"MUSIC FOR THE JILTED GENERATON"は収録曲THEIR LAWを表現したような警官に中指を立てる男のイラストになっている。このイラストを描いたのはLes Edwardsという人物。オフィシャルサイトがあるので興味のある人はどうぞ。
Les Edwards http://www.lesedwards.com/

1997年リリースの"THE FAT OF THE LAND"は日本国民から通称「カニジャケ」として親しまれているインパクトのあるジャケ。これは当初ドッグレースの写真が使われる予定だったのだとか。中には

'We have no butter, but I ask you, Would you rather have butter or guns? Shall we import lard or steel? Let me tell you preparedness makes us powerfull. Butter marely makes us fat.'

という文章がかかれている。これはヒトラーの側近的存在であったヘルマン・ゲーリングの演説を引用したもの。リアムはこれを使用した理由として「強固な目的意識とメッセージ性、そして普遍的なサヴァイヴァル精神を象徴しているから」と説明。さらに「ナチ云々で非難されることになるなんてまったく保守層の視点ってのは・・・」と雑誌のインタビューで言っている。どれもこれも話題になると解っていての確信犯的なものだと思うが。

ちなみにバンド名の横にアリンコマークというロゴもすっかり定着。このアリは「1匹だと弱いが複数になると強い」という意味合いをこめてリアムが決めたのだそう。 こういったことからもわかるようにリアムがどのシーンからも歓迎されず、属しもしないが、プロディジーとしてのバンドの結束やフォロワーにはならないという意思が、作品のタイトルやアートワークにわかりやすく表現されている。

聞かれてないけどお知らせすると、オーナー最もお気に入りのジャケとCDデザインの組み合わせは'SMACK MT BITCH UP'
このジャケットのデザインを手がけたのはAlex Jenkinsという人で、"THE FAT OF THE LAND"やリアムのミックスアルバムDirtchamberやマキシムのシングルアートワークなども担当。ちなみにこのシングルのジャケも当初は事故ったフォルクスワーゲン・ビートルの写真が使われていたがダイアナ妃の事故死を考慮して急遽変更されたもの。次に候補だったのはサッカーの試合中の乱闘写真だったがこちらもNGだったとか。






2001年に始めた復帰ツアーでは新しいロゴが登場。<ステージ写真:フジロックフェスティバル02にて。若干ミサイルの色が違うし見えにくいけど> この頃の登場のイントロがアーミーマーチだったり後に出る事になる "Spitfire"(イギリスの戦闘機の名前。またはカンシャク持ち女)等リアムの中では戦闘モード満々だったのだろう。 アリンコも基本アイコンとしてオフィシャルサイトやマーチャンダイズのイメージで健在。





02年のシングルBGATではカタカナがデザインに使用された。(「テトロン」東レが作っているポリエステル系合成繊維の商品名。「サンフォライズ」は布の防縮加工法のことだとか。。。。)このアートワークを手がけたのはJimmy Turrell。彼はSAFESPACEというアート会社を立ち上げいてる人物で、サイトの作品群の中には'Babys Got A Temper'のポスターを見ることができる。プロフィールを見るとTOKION誌上でも多く仕事をしているので日本語デザインも納得か。

ここはプロディジーのサイトを手がけているROCKSTARのクライアントでもあり、両者は共にXL recordingsの会議で(?会社のプロモーション?)使われたアニメーションを制作している。この作品がプロディジー満載でなかなかかっこいい。SAFESPACEのオフィシャルサイトで視聴可能↓。
SAFESPACE :http://www.safe-place.net/top.html
ROCKSTAR : http://www.rock-star.co.uk/

2004年7年ぶりのニューアルバム"Always outnumberd never outgunned"はファーストシングル"Girls"とリンクするポップアート。アートワークと同様"Girls"のビデオを担当したのが、イギリスのデザイン会社INTRO所属のMat CookとJulian House によるもの。(両者ともミュージックシーンとの関わりは深い)
― インスパイアされたものは death disco, Miami sound, Italian Vampire, Harry Hausen, Svank Mejer, Screen Test Handmade Children's Film Foundation and obsessive child in garage. ―
INTRO:http://www.intro-uk.com
アルバムからの3枚のシングルも一貫したデザインでまとめられている完成度の高いものとなっている。

改訂版

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